
東京、埼玉の手織教室、染色教室 はたおと
草木染めを体験して
爽やかに晴れた四月二十九日の祝日に、初心者のための草木染めの講習を受けました。
染材は自由に選ぶことができ、私は以前からやってみたいと思っていたサクラを選びました。一緒に参加された方は、フキ、ケヤキ、モッコクを選んでいました。
サクラ、ケヤキ、モッコクに関しては乾燥材を使いますが、フキに関しては生の材料を使うので、まず、フキを集めにお隣の畑に行きました。フキは茎ごと採集して、葉の部分を染料に使い、残った茎はお料理用になりました。先生がフキの近くに生えていたノビルも採集して、お昼にたらの芽やたけのこと一緒に炒め物を作ってくれました。これがとてもおいしかったです。
染材を確保したら、それぞれ大鍋で煮出して染液を作ります。私は小学生のときに、国語の教科書で、サクラのピンク色は花からではなく幹から染めることを知り、とても驚いた記憶があるのですが、それほど赤いようにみえなかった幹材から本当に赤い色が抽出されたので、あれから二十年経ってようやく自分の手で確かめることができました。
染液を作る過程でおもしろかったのがフキです。乾燥材の場合は煮出す作業を繰り返して、一番煎じ、二番煎じを作っていくのですが、フキは煮出したら染剤の葉を揉んで、さらにその葉で煮出す作業を繰り返します。これはきれいな緑色を抽出するための作業で、最後に作った染液からいちばん澄んだ緑色が生まれるそうです。
染色の作業では、鍋で火にかけた染液に、水に浸しておいた糸を浸け、絶えず糸を繰り続けます。火のそばに立って、熱い糸をさわっているのは大変でした。また、たった一枷ずつでも、この後の媒染の作業もしていると、糸の上げ下げで腕がだるくなってしまいました。染めには体力と忍耐が必要だと感じました。
続いて、染料を定着させるために媒染液に浸します。このとき用いる媒染剤によって発色が違ってくるそうで、私はサンプルを参考に、アルミとチタンを使うことにしました。染色の作業を終えて、少しくすんだ感じのピンク色をしていた糸が、アルミ媒染をすると少し赤みを増したような色に、チタン媒染をするとオレンジがかったような色になったのは不思議な感覚でした。
一緒に参加されていた方々の糸を見せてもらうと、フキからは落ち着いた緑色が、ケヤキからはやわらかなピンク色が染まっていました。モッコクは媒染剤により色の違いが一番はっきり出ていて、濃いピンク色から褐色に近い色まで染まっていました。
この後、染色と媒染の作業をもう一度繰り返し、最後に染色して終了です。染色や媒染の手順を経るごとに色が変化してくるので、フキ、ケヤキ、モッコク、サクラの4種類の染材から、たくさんの色が見られました。
今回、草木染めを体験してみて、あらためて化学学染料を用いた染めとは性質が異なることを実感しました。仕上がりの色を自分の染めたい色にコントロールできる化学染料と違って、植物染料はその仕上がりの色をある程度は想定できても、その生育場所や採集の時期などにより色が違ってくるそうです。だから、染めるときは、そのときの植物のもつ個性にまかせるような感覚でもいいのかなと思いました。
今回は一つの植物のもつ膨大な色の一端を感じることができました。今後もたくさんの色との出会いを楽しみたいです。